自分のアンチにインタビューしました
- 村上ヒデキ
- 2019年5月29日
- 読了時間: 6分
あえて、5ちゃんねると呼ばず、2ちゃんねると呼びます。のでご了承を。
2月某日。多方面から「どうかしたの?」と声をかけられる私。 「…? 別に? どうもしないけど?」と返答すると「いやだって…2ちゃんねるが燃えてるよ」と、みな口を揃えて言った。
2月、とある失言で揚げ足をとられ、それ以降、2ちゃんねるニコラップスレでの村上ヒデキウォッチなるものがはじまった。と、同時にアンチ村上ヒデキの書き込みも増加していった。
こちらがなにか書き込みをしては「またなにかしてそう」。 書き込みをしなくても「なにかしてそうでうざい」。 といった具合で取り付く島もなかったのを覚えている。
……ま、まぁ、やんちゃする人が書いているんだ。 そのうちになくなるだろうと思っていたが、だんだんエスカレート。
あの企画には村上ヒデキはいなかったほうが良かった、とか、あの参加者にすり寄っていっている、と言われ放題になってきた。
そんな折、とある書き込みが村上ヒデキ個人ではなく、私の依頼者にターゲットをしぼった書き込みを見た。激怒した。依頼者にはなんの罪もないのに。
私は速攻で誹謗中傷として各所へ通報。さらにそこから個人情報開示請求へと持っていっては、刑事・民事問わず戦う姿勢を示した。このときは本気でニコラップスレに関わった全員と戦う意気込みだった。
ある日ツイッターを見ると、見慣れない名前のダイレクトメッセージが。 2ちゃんねるの書き込みを行っていたというA氏(仮名)だった。 そこには書き込みに対する謝罪の意が丁寧に書き込まれていた。
そこでまず、2ちゃんねる全体への攻撃を中止、A氏の書き込みレスを確認。一番ひどいと思っていた書き込みがA氏だったため、残りの2ちゃんねらーは相手にしなくてもよいと判断。 通報を取り下げることになった。
ただA氏の処遇はどうしたものか…。と考えていたところ、ピンときた。
なぜ、A氏はこんなことを…? それをインタビューすればよいのでは…?
ということで、通報取り下げとは【別に】、無理を承知でお願いをしてインタビューをさせていただくことにした。もちろんA氏は了解済みで、だ。
さて前置きが長くなった。
では、アンチ村上派としてのA氏のインタビューを、送られてきたまま掲載する。内容に関しては一切打ち合わせや修正などはしていない。 ただおおまかな質問は「全員が加害者にも被害者にもなる時代に、アンチとして行ったこと」をテーマに設問を用意した。そのテーマは向こうには伏せてある。
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○身バレしない程度に、自己紹介をお願いします。
A:村上さんのアンチの一人です。アンチとなったのは、NoNでの騒動からでした。普段は主にリスナーで、ネットラップに関してはここ5年ほど聞いています。 (※村上注:NoNでの騒動=村上ヒデキが2月、Now or Never公開時に失言をしたためおこった騒動)
○あなたは村上ヒデキをどう思いますか。またはどう思いましたか。
A:良くも悪くもネットラップ的、ヒップホップ的、でない人だと思っていました。ツイッターでも本人が言及しているように、舞台音楽から入った方なのもあると思います。「何故か畑違いの人が急にラップ界隈に入ってきて、色々やってる」といった印象でした。
○あなた個人が、ネットラップについておもうところを教えてください。
A:確かに「ネットラップっぽい曲調」などはあると思いますが、ネットラップの定義として「スタート地点がネット」「その後の活動拠点もネット」というのが条件だと思います。勿論その定義もまだまだ曖昧です。ただ、私個人の感覚として、「ツイッターで仲良くしている一定のネットラップグループ」が結局はメインストリームなのかなとも思います。正直なところ、いくらネットで活動していても、メインストリーム以外から出てきてそのまた有名になったラッパーあたり(例えば本スレでも言及をされていますがwebkuso氏)は、ネットラップと言うのに違和感がなんとなくあります。
○あなた個人が、5ちゃんねるについておもうところを教えてください。
A:先程の通り、ネットラップのメインストリームはツイッターではないかと私は思っております。そしてツイッターはラッパー同士の交流がメインとなり、ただのリスナーが入り込む余地が少ない(全くないわけでもないが)。なので、ただのリスナーが感想を言える場、ラッパーがリスナーとして感想を言いやすい場として、本スレが機能していた側面はあると思います。しかしその性格上、批判的な書き込みが多くなってしまい、エスカレートしやすいと思います。
○今回の立場でよかったことを教えてください。
A:相手は製作者で、自分はそのアンチ、という、互いの立場がはっきりしている上で、妙に社交儀礼など挟まず正直な話ができたことは、アンチである自分に有意義なものだったと思います。
○アンチとしていつづけるため、こころがけたことはなんでしょう。
A:曲を聴かないまま批判したところで、その批判が別の誰かに的外れだと批判を受けるだけです。叩くためには叩かれる対処をよく知る必要があり、その点では、擁護しているか誹謗中傷しているかの違いだけで、ファンとアンチは表裏一体とも言えます。
○今回の立場でよくなかったことを教えてください。
A:当然ながら、公然の前で誰かのネガティブな情報を発信し評判を貶めること自体が、良くないことであることは、忘れられがちですが大前提であるべきだと、村上さんとのやりとりで確認しました。
○SNSにおいて、全員が加害者・被害者として気をつけなければならない点を、アンチ村上として立った視点から教えてください。
A:「もっと皆んな優しく生きよう」に尽きます。互いにエスカレートしてしまえば、起訴などどんどん話が大きくなってしまい、お互いに大きなダメージが避けられません。
○村上ヒデキにひとこと。
A:感謝と謝罪を行うと共に、こうなった以上私が今後村上さんの批判を行うことはありませんが、陰ながら応援はさせていたいです。
○見ている方にひとこと。
A:批判、誹謗中傷をしている人にも、擁護、支援している人にも、とりあえず「もう争いはやめて優しく生きよう」と言いたいです。しかし、それだけでは争いがなかなか止まらないのも分かっています。なので、最後にこう言わせてください。
「アンチも信者も、そもそも曲をちゃんと聞いて」
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…さて、ここからは私の所感である。
最後のひとことで、ああ、パンチを食らったな、と感じた。
ただただ今回の騒動は、私が音楽だけで魅せていれば起こらなかった騒動であり、エンターテイナーに徹しきれなかったせいというのがある。
しかしながら、起こったことは起こったことで処理していくしかない。たとえ自分がまいた種でもだ。
A氏とは、通話を一回、このアンケートの報告で何回かメッセージをやりとりした。互いに喧嘩腰ではなく、笑いも飛び交うような話ができた。2ちゃんねるで起こっていた誤解も、答え合わせをしたり、となかなか楽しかった。
今回の騒動で思ったのは、話さなければなにも伝わらない、ということだ。
たとえば、私が20年ほど作曲をやっていることなんて、A氏は知るよしもない。逆にA氏がアンチをするために私の曲をしっかりめに聞いていた、なんていう話を、私は知らなかった。たとえば、それを知っていたなら通報なんていうことはしなかっただろう。
SNSで反乱するこういった問題は、誰でも加害者にも被害者にもあり得る。ブロックボタンで問題を招いたことは誰にでもあるだろう。 もしあなたが、こういった問題に巻き込まれそうになったとき、冷静になって相手の声を聞いて話してみるのをおすすめする。きっと、予想外の答えが帰ってくるはずだ。
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